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持久力が高い人ほど「パターン認識能力」優れる―若い成人を対象とした実験で確認:筑波大学

(2017年7月12日発表)

 筑波大学は712日、身体活動量の多い生活、アクティブライフを営み持久力が高い人ほど物事を正確に記憶するために必要な「パターン認識能力」(類似記憶の識別能力)が高いことを発見したと発表した。

 同大学体育系の征矢英昭(そや ひであき)教授、米国カリフォルニア大学アーバイン校のMichael A.Yassa准教授(筑波大教授)らの共同研究グループの成果で、似たような出来事を区別する類似記憶の識別能力と体力との関係はこれまでほとんど分かっていなかった。

 運動は、体力の維持・増進だけでなく、脳の健康にも有益な効果があることが分かってきている。特に、脳の中にある小指より一回り小さい程度の大きさの器官である海馬(かいば)は、日常生活での出来事を記憶する際の重要な脳領域で、認知症予防のターゲットとしても研究が盛んに行なわれている。

 持久力と記憶力という一見関係がなさそうな2つの能力が相関する背景には、習慣的に運動することにより海馬の歯状回(しじょうかい)と呼ばれる部位で新たな神経細胞の産生(神経新生)が増加することが関与していると考えられてきた。

 そこで今回研究グループは、海馬の一部位である歯状回が担う類似記憶の識別能力に着目。健康な若い成人の男性45人、女性30人の75人を対象にして、全員を最大酸素摂取量の高低から高持久力群と低持久力群の2つのグループに分け、特殊な記憶テストを用いて記憶能力を測定し、身体活動量、持久力との関係を横断的に調べた。

 その結果、身体活動量が多い人ほど持久力が高く、類似記憶の識別能力が優れていることが分かった。

 近年、高解像度MRI(核磁気共鳴画像法)を使って海馬内の構造や機能を詳細に評価する手法が開発され始めている。研究グループは、そうした最新の脳機能計測法を用いて今回の研究で得られた持久力と記憶力の関係の脳内メカニズムの研究をさらに進めていく計画にしている。