ひずみを測定し強化プラスチック複合管(FRPM)の安全性を診断:農業・食品産業技術総合研究機構/茨城大学/栗本鐵工所/積水化学工業
(2017年7月13日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構らは7月13日、農業用水のパイプラインなどに使われている強化プラスチック複合管(FRPM管)のひずみを測定し、漏水の安全性を診断する技術を開発したと発表した。これまで見逃されていた局所的に変形した危険な箇所を事前に発見できるようになった。農研機構のほか茨城大学、(株)栗本鐡工所、積水化学工業(株)が共同で研究した。
FRPM管はガラス繊維強化プラスチック(FRP)と樹脂モルタルの複合材料。軽く、強度があり、酸・アルカリにも強く、安価で耐震性にも優れている。このため水道の導水ラインや送水ライン、下水道などのインフラ材料として幅広く使われている。
農業用のパイプは口径が80cmから2.4mまで大きさも様々。地中に埋設されて数十年も経ったFRPM管は、地盤沈下や地下水などの影響で管の一部に大きな力が加わることがある。
すると局所的に変形し、ひび割れが起きやすくなる。これが原因で水漏れ事故が起き、農業用水に支障をきたすばかりか、交通障害で都市機能さえマヒさせかねない。
これまでは円筒の管に上から土の重さが加わった時に、全体として横長に変形するため、垂直方向と水平方向の「たわみ量」から安全性を診断していた。
新たな診断法は検査員が管内に入り、円筒の頂点、底、両脇などに直線型の金属製の曲率測定装置を当てて細かく測定する。管材が部分的に変化すると管の内側が伸びる。この伸び量の全体を変化前の長さで割った値の「ひずみ率」を計測した。
ひずみ率が6,000μ(ミクロン)以上では新管と交換。4,000から6,000μは2年ごとに点検などとする4段階の診断表を作成した。
これによって口径80cm以上のFRPM管の安全性や維持管理を合理的にできるようになった。