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直射日光下で高速運動する物体の形状計測が可能に―新手法を開発、数年内の実用化目指す:産業技術総合研究所

(2017年7月14日発表)

 (国)産業技術総合研究所は714日、直射日光のような強い外乱光がある環境でも、高速に運動・変形する物体の形状を正確に計測できる手法を開発したと発表した。屋外での運動体の計測や、炉内の高温発光物体の形状計測など様々な利用分野が拓けるものと期待されることから数年内の実用化を目指すと産総研はいっている。

 ロボットの利用や、あらゆるモノがインターネットでつながるIoT(モノのインターネット)が実用期を迎えようとしている。それらを実現するための重要な要素技術として状況をコンピューターで処理できるデータとして取り込むセンシング技術があり、物体の形状計測が多くの場合で求められる。 

 その形状計測法としては、レーザーを使う方式やカメラによる方式などいくつかの非接触な測定法が開発され、運動する対象物の形状を高精度で計測するにはカメラで撮影したパターンを画像処理して3次元形状を計算する方法が向いているといわれている。

 しかし、そうした従来の方法には、太陽光や照度の高い照明器具などの外乱光があるとパターンが外乱光に埋もれ画像処理が適切に行えなくなってしまう弱点があった。

 今回の手法は、「スペクトラム拡散変調技術」という携帯電話などの無線通信に使われているノイズ対応技術を画像処理に利用すると共に光源の照射方法を工夫することで外乱光の影響を無くして高速に運動・変形する物体の表面形状を直射日光のような強い外乱光がある環境下でも正確に計測できるようにした。

 実験では、バウンドするボールの表面形状を約5万ルクスの直射日光の下ハイスピードカメラを用いて毎秒22,500コマで撮影することに成功している。

 産総研は、従来困難だった溶けた金属など自ら発光する物体の形状計測にもこの手法が使えるものと期待している。さらに、形状計測だけでなく「光源とカメラを組み合わせたさまざまな画像処理法にも適用できる。たとえば、複数の光源・カメラから構成されるシステムや、カメラとディスプレイから構成されるバーチャルリアリティーシステムなどへの応用が考えられる」といっている。