高血圧の治療効果のあるトマトをゲノム編集で作成:筑波大学
(2017年8月1日発表)
筑波大学生命環境系の江面浩教授らのグループは8月1日、ゲノム編集技術を使って高血圧症の予防やストレス緩和に効果のあるγ—アミノ酪酸(らくさん)を多量に蓄積したトマトを作成したと発表した。1日1個のトマトをおかずとして食べるだけで、軽度の高血圧の治療や予防に効果があるとしている。
γアミノ酪酸(GABA)はストレス緩和や血圧上昇を抑える成分として知られている。
筑波大学は、グルタミン酸からGABAを合成する時に働く酵素GAD(グルタミン酸脱炭素酵素)に着目した。
通常はGADにはフタが覆っているために活性が抑えられGABAは合成されない。
ところが植物体にストレスがかかったり、カルシウムイオンが過剰になったりすると、カルシウム-カルモデュリン(Ca-CMd)複合体を作る。これがフタに結合するとGADのフタが変形して酵素GADが活性化し、GABAが合成されるように動く。
そこでハサミの働きをするゲノム編集技術によってフタを切断した。その結果、GADがむき出し状態になり、GABAを野生種トマトの約15倍も大量に生成した。血圧上昇を抑えるには GABAが1日10~20mgあればいいといわれる。
これを食用トマトに導入し同程度のGABAが蓄積できれば、大玉のトマト1個をくし形切りにして毎日1回食べるだけで、軽度な高血圧の治療や予防にもつながるとしている。