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たんぱく質のラセン光を観測―長期間にわたって発光現象を保持:筑波大学

(2016年6月9日発表)

 筑波大学数理物質系は6月9日、緑色発光たんぱく質のGFPがらせん状の光を放っていることを発見したと発表した。また、GFPを高分子のポリビニルアルコール(PVA)に練り込んだ薄膜を作ったところ、5年間の長期間にわたって発光し続けていることも確認した。

 GFPはオワンクラゲの持つ蛍光たんぱく質で、下村修・米ボストン大学医学校名誉教授らが発見、発光の仕組みを解明し、2008年にノーベル化学賞を受賞している。

 たんぱく質はそのままでは光学顕微鏡では見えない。そこで調べたい分子にGFPの遺伝子を組み込むと光って見えることから、細胞内で起こる生命現象を解析するのに欠かせない技術として広く使われている。ところがGFPが放つ光そのものの物理的な研究はなかった。

 筑波大は、可視光領域での光吸収と蛍光発光、吸収スペクトルを測定したところ、GFPそのものが緑色 の円偏光発光していることが分かった。さらにGFPをポリビニルアルコールに練りこんだ複合薄膜を作成し、励起光を照射したところ緑色の領域 (495~570ナノメートル)(1nmは10億分の1m)で円偏光発光した。この薄膜は5年以上の長期間にわたって発光し続けている。

 このことから自然界の発光生物の多くが円偏光を輝かせている可能性があるとみている。今後、緑色だけでなく、遺伝子組み換えで培養した赤色(RFP)や黄色(YFP)の分光も調べる。

 これまで生物の発光現象を直接電子素子に使った例は無かった。将来は生体物質を合成高分子と組み合わせて、新たな発光体デバイスを作ることも可能になるとみている。