マリファナの幻覚成分が重篤な痙攣発作引き起こすことを発見―ソフトドラッグへの間違った理解に警鐘:筑波大学
(2017年9月22日発表)
筑波大学は9月22日、マリファナ(大麻草)や合成大麻の幻覚成分が重篤な痙攣発作(けいれんほっさ)を引き起こすことについてマウスを使った実験で発見したと発表した。マリファナの危険性が改めて明らかになったと研究グループは警鐘を鳴らしている。
マリファナ、合成大麻(スパイス)などは、ソフトドラッグと呼ばれている。
中でもマリファナは、危険性が他のドラッグよりも低いと考えられ、比較的手に入り易いことから世界で最も濫用されている違法薬物。
また、大麻草の幻覚成分である「カンナビノイド」と呼ばれる化合物の構造を出発点として次々と新しい合成カンナビノイドが作られ、中高生が入手できるほどにまでになって大きな社会問題となっている。
そこで、筑波大国際統合睡眠医学研究機構のオリガ・マリシエフサカヤ研究員は、カンナビノイドの危険性を検討するため今回、(国)医薬品食品研究所、九州大学薬学部の研究陣と共にカンナビノイドの一種である「Δ⁹‐テトラヒドロカンナビノール」と、違法ドラッグの合成大麻に含まれる合成カンナビノイド「JWH-018」をマウスに投与して脳波や行動の変化について詳細な観察を行った。
その結果、これらの化合物を投与すると、ただちに痙攣発作が発生。カンナビノイドに結合するカンナビノイド1型受容体(CB1R)の働きを阻害するAM-251を投与すると、その発作が完全に抑制され、どちらの化合物もCB1Rを介して痙攣発作を誘導していることが分かった。
こうしたことが実験で証明されたのは初めてで、マリファナの危険性が改めて明らかにされた。
研究グループは「今回の新たな発見は、これまでのマリファナや合成カンナビノイドの乱用は健康被害や副作用が比較的少ないという間違った理解に警鐘を鳴らす結果で、たった一度の使用でさえも有害影響をもたらし、重篤な健康被害につながりうることを示唆している」と強調している。