ほしいところだけを暗くし、景色をみることができるガラス!:物質・材料研究機構ほか
(2017年10月17日発表)
(国)物質・材料研究機構(NIMS)は、早稲田大学、多摩美術大学と共同で、ほしい部分だけをサングラスのように暗くできるガラスの開発に成功した。
これまでの方式だとサングラスにしたい場合、そのガラス全面が遮光状態になってしまうため、景色が全く見えないということが生じていた。しかしこの発明により、必要な部分だけをサングラスのように暗くし、その他の部分は景色を楽しめるように暗くしない、あるいは、暗くする度合いを少なく設定することが簡単にできるようになった。
これまでは、ガラスの調光(色を変える)には、エレクトロクロミック(EC)方式といって、電気で色が変わる物質(EC物質)を用いてガラスの色を変えてきた。EC物質を酸化状態のままにしておくことにより、外部から電力の供給を行わなくてもその色が続くため、低消費電力である。具体的には、ボーイング787の窓に用いられている。また、完全なサングラスにするのではなく、曇りガラスにして会議室のパーティションなどとしても利用されている。しかし、窓全体が明るいか暗いかのどちらかでしかなった。
今回、研究グループは、これまでのエレクトロクロミックな特性をもつ「鉄イオンを含んだ高分子」を用いることで、透明から遮光状態までグラデーション変化するガラスの開発に成功した。今後は自動車や飛行機などの乗り物の窓、ビルの窓として実用化することが期待されている。