非常に珍しい黒いシジュウカラを発見―筑波に飛来、子孫残すか興味持たれる:国立科学博物館
(2017年10月31日発表)
筑波実験植物園で発見された黒いシジュウ
カラ(上)と通常のシジュウカラ(下)
写真提供:国立科学博物館
(独)国立科学博物館は10月31日、つくば市(茨城県)内で非常に珍しいシジュウカラの黒化個体を1羽発見した、と発表した。
黒化個体は、全身が黒みを帯びている個体のこと。国内での鳥類の黒化個体は、ウミネコ、スズメで報告があるに過ぎない。
シジュウカラでの今回のような著しい黒化の例は珍しく、世界でもオランダで報告があるのみ、と同博物館はいっている。
シジュウカラは、ほぼ日本全域の林や湿原などに生息し、市街地の公園や庭先などでも見かける体長15cm位の小さな野鳥。頭は黒色だが、頬が白く、背面は灰青色、下面は白色、と今回の黒化個体とは全く異なる色をしている。
今回のシジュウカラが見つかったのは、同博物館の筑波実験植物園(茨城県つくば市天久保4-1-1)で、今年2月のこと。環境省の関東地方環境事務所長の許可を得て捕獲にも成功、採取した微量の血液を使ってDNA(デオキシリボ核酸)バーコーディングという手法によって種の判定を行ったところ間違いなくシジュウカラであることが判明した。昨年の2〜3月にも飛来していたがその時は捕獲できず種を判定するまでいかなかった。
つくば市周辺のシジュウカラは、秋から冬になると繁殖期の個体と新たに入ってきた個体とが混じった群れで生活するようになる。捕獲した個体は、雌で判定後近くの自然に放されたが近隣で生息し繁殖しているものと見られ、黒化個体の子孫を残すか興味が持たれる。
黒化のメカニズムは、まだ解明されていない。海外の他種では、メラニン合成に関わるホルモンの受容体の遺伝子に突然変異が起こることによって生じることが分かっているが「他の突然変異による場合もあると考えられる」と同博物館はいっている。