新品種米「ゆみあずさ」開発―病気に強く高収量で業務用に最適:農業・食品産業技術総合研究機構
(2017年11月1日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は11月1日、イネの主要な病気であるいもち病に強く収量も多いイネの新品種「ゆみあずさ」を開発したと発表した。消費量が増えている外食向け業務用米に適しており、味は東北地方で広く栽培されている「ひとめぼれ」や「あきたこまち」と同程度という。すでに宮城、秋田の両県で100ha(ヘクタール)の作付けが計画されており、おにぎりやお弁当用に使われると期待している。
農研機構の東北農業研究センターが全国農業協同組合連合会(JA全農)と共同で、東北地方で広く栽培され食味の良い「奥羽400号」と「羽系1293」を交配して育成した。栽培時に「しなやかな弓」のように倒れにくいことから、神事で使われる「梓弓(あずさゆみ)」にちなんで「ゆみあずさ」と名付けた。
新品種は標準的な量の肥料を使用した場合は10a(アール)当たり743kg(5年平均)、肥料をより多く使用した場合は同809kg(4年平均)と、「あきたこまち」や「ひとめぼれ」より収量が約1割多かった。気温が高すぎると白く濁った未熟米ができやすいため、東北中部より南の地域での栽培に適している。
米の消費量は家庭内では減少傾向にあるが、調理された米を家庭で食べる中食用や外食向けの業務用米の消費量は増加傾向にあり、一定の品質・食味を持ちながら育てやすく収量の多い新品種の開発が求められていた。