未利用の熱エネルギーを電力に変換する熱発電セルを作成―28℃と50℃の温度サイクルで電力の取り出しに成功:筑波大学
(2017年12月9日発表)
筑波大学 エネルギー物質科学研究センターの研究グループは12月9日、正極と負極に熱起電力の異なる材料を配置したイオン電池型熱発電セルを作成し、低温の熱エネルギーを用いて熱発電に成功したと発表した。外界に放出されている身の回りの様々な廃熱の活用が期待できるという。
熱起電力が異なる物質として今回用いたのは、プルシアンブルー類似体の一種で、高い放電容量と高い安定性を示すコバルトプルシアンブルー類似体。これを正極と負極に配置して熱発電セルを構成した。
まず低温(TL)で起電力を零とし、セルの温度を高温(TH)にしたところ、セルの起電力が発生、高温で放電することにより電力を取り出せた。次にセルの温度を低温(TL)にするとセルに逆向きの起電力が発生、低温で放電することにより電力を取り出せた。
実験では28℃と50℃の温度サイクルで電力の取り出しに成功、この発電の熱効率は、理論値11%に対して、1%だったという。
研究グループは今後、より高い熱起電力を示す材料の探索・開発に取り組み、高効率な熱発電セルの実用化を目指すとしている。