日本の温室効果ガス排出量は前年度よりわずかに減少:環境省/国立環境研究所
(2017年12月12日発表)
環境省と(国)国立環境研究所は12月12日、2016年度の日本の温室効果ガス排出量の速報値をまとめ発表した。それによると総排出量は二酸化炭素(CO2)換算で13億2,200万tと、前年度と比べて0.2%減少した。再生可能エネルギーの導入拡大が影響したものとみている。
2005年度から過去12年間の温室効果ガスの排出量の増減をみると、フタコブラクダ型に推移してきた。コブにあたるピークは2007年度の14億200万tと、2013年度の14億900万tで、今回発表した2016年度は2013年度のピークから3年連続で徐々に減少しているものの減少幅は小さくなっている。
減少の理由は、再生可能エネルギーの導入拡大と原発の再稼動によってエネルギー起原のCO2排出量が減少したため。
一方で増加は、オゾン層破壊物質の代替物質として冷媒分野でフッ素化合物のハイドロフルオロカーボン類が増加したことによる。
エネルギー起源の二酸化炭素排出量の主な増減を分析すると、貨物輸送が減少した運輸部門(-0.8%)と、商業・サービス・事業所などの業務部門(-5.2%)、家庭部門(-2.8%)がいずれも前年度から減少した。反対に工場などの産業部門(+1.6%)と発電所等のエネルギー転換部門(+7.0%)が増加している。
これを排出ガス別でみると、工業プロセスや製品の使用分野の非エネルギー起源(-0.4%)と一酸化二窒素(N2O)(-0.2%)、稲作や廃棄物から発生するメタン(-1.4%)が減少した。
増加したのは、冷媒に使うハイドロフルオロカーボン類(+10.3%)のほか、産業用の半導体、液晶製造に使うパーフルオロカーボン類(+2.0%)、三ふっ化窒素(+11.1%)、金属生産に使う六ふっ化硫黄(+4.7%)だった。
太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーが増えたことに加え、固定価格買い取り制度の導入も寄与している。原発が2015年以降に再稼動したことも排出量の減少に効果があった。