少しキツイ運動休み休みすると認知機能がアップする―高強度インターバル運動で確認:筑波大学ほか
(2017年12月27日発表)
筑波大学、中央大学などの国際共同研究グループは12月27日、少しキツイ運動を休み休みすると人の認知機能がアップすることを実験で確認したと発表した。
高負荷の運動を短い休憩をはさんで繰り返して行う高強度インターバル運動により人の注意・集中、計画・判断などの高次認知機能が向上することを初めて明らかにしたもので、グダニスク体育大学(ポーランド)の研究者と共同で確認した。
習慣的に行う運動としては、これまで中強度の運動が奨励されてきた。
だが、運動する時間がとれないとか、運動自体が楽しくない、などの理由から成人の7割は習慣的運動を行っていないとされている。
そうしたことから近年、費用対効果が高く持久性運動能力が高まる運動として注目されているのが高強度インターバル運動で、従来の中強度の長時間持続運動よりずっと短い時間の運動でそれと同等以上の体力増進が図れることから普及が進んでいる。
高強度インターバル運動は、アスリートの体力向上のためのものとかつては位置づけられていた。それが最近は強度を低くした新たな運動モデルが提唱されて、若年健常者だけでなく高齢者まで多くの人が安全に行なえるようになってきている。
しかし、高強度インターバル運動の認知機能への効果は、これまで分かっていなかった。
今回の研究は、うつ病や認知症、糖尿病などで共通して低下が見られる機能を効率的に高める効果があるとされている「汎用型高強度インターバル運動」と呼ばれる運動療法について行った。
実験は、運動習慣のない健常成人25人に総運動時間6分の汎用型高強度インターバル運動をしてもらった後、人の高次認知機能を評価する「ストループ課題」と呼ぶ“チェック”を実施、その際の認知パフォーマンスと脳の前頭前野の活動とを同時に測定するという方法で行った。
その結果、短時間の高強度インターバル運動によって人の注意・集中、計画・判断などの高次認知機能が高まることが分った。
今回健常成人で確認された効果が高齢者など他の対象者でも得られるか、また、記憶など他の認知機能にも効果があるのか、などといった検討課題が残っているが「心身の活力低下問題の改善策として応用されることが期待される」と研究グループはいっている。