リチウムイオン内包フラーレンの合成収率向上を確認―有機太陽電池などへの応用研究促進:横浜国立大学/東北大学/筑波大学ほか
(2018年1月11日発表)
横浜国立大学と東北大学、筑波大学、イデア・インターナショナル(株)の共同研究グループは1月11日、リチウムイオンを内包するフラーレンC60の合成の最大収率を計算機シミュレーションで予測し、それを実験で検証したと発表した。リチウムイオン内包フラーレンの合成収率の大幅な向上に道を開く成果で、産業応用に向けた研究開発の加速が期待されるという。
リチウムイオン内包フラーレンは、炭素原子60個からなるサッカーボール型の分子フラーレンC60に、リチウムイオンを打ち込んだもの。高効率有機太陽電池材料やドラッグデリバリ物質などへの応用が期待されているが、合成収率の向上が課題の一つとされている。
研究グループは今回、東北大と横国大が共同開発した「全電子混合基底法」という世界的にユニークな第一原理計算技術を用い、スーパーコンピューターで計算機シミュレーションを実施、収率を予想した。
検証実験では、イデア・インタナショナルがリチウムイオン内包フラーレンの実在を初めて証明した「プラズマシャワー法」という手法を使って同物質を作り、収率を検証した。
その結果、最大収率は、電圧30Vでリチウムイオンを加速した場合に4%であり、10Vの場合に収率をさらに向上できる可能性が示唆された。
これは合成効率の大幅な向上の可能性を示すもので、リチウム内包フラーレンの応用研究を促す成果としている。