配管に取り付け可能なフレキシブル熱電モジュール開発―工場の未利用熱の利用拡大へ:産業技術総合研究所ほか
(2018年1月23日発表)
(国)産業技術総合研究所と(株)豊島製作所、(株)E サーモジェンテックは1月23日、配管内を流れる未利用の廃熱から電気を取り出せる、折り曲げ可能なフレキシブル熱電モジュールを開発したと発表した。工場プラントなどでの廃熱の利用拡大につながるという。
環境中に放出される膨大な未利用熱の活用が社会的に求められ、その方策の一つとして熱を電気に変える熱電材料の利用が図られている。しかし、固いセラミック基板上に形成されるこれまでの熱電モジュールは曲げられないため、配管を流れる温水や蒸気などの熱を効率的に回収することができなかった。
共同研究グループは、有力な熱電材料であるビスマス・テルル材の発電性能を従来の1.5倍に高めるとともに、これを切断加工して小さなチップとし、このチップをフレキシブル基板上に高密度に実装して、高出力のフレキシブル熱電モジュールを開発した。
ビスマス・テルル材の高性能化は遷移金属をドーピングすることによって実現、またドーピングした材料のインゴット(塊)を大量生産する技術も確立した。
作製したのは、p型とn型のビスマス・テルルを一対とする素子260個から成る、厚さ1mm、縦横約64mmのモジュールで、重さ約9g。
低温・高温側の温度差最大70℃で発電性能を測定したところ、最大発電出力は87mW/cm2で、曲げ試験を1,000回繰り返しても出力の劣化はなく、安定な発電性能を実証できたという。
今後モジュールに電源回路や放熱機構などを取り付けて発電システムを完成させ、製品化したいとしている。