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軽くて強いマグネシウム合金―マンガン添加で壊れにくさ実現:物質・材料研究機構

(2018年1月24日発表)

 (国)物質・材料研究機構は124日、急激な力が加わっても変形するだけで壊れにくいマグネシウム合金を開発したと発表した。市販のアルミニウム合金に匹敵する変形能力を持ちながらより軽量な金属材料が実現できるとして、自動車をはじめとする様々な部材の軽量化に役立つと期待している。

 マグネシウム合金は実用金属の中で最も軽く、自動車や鉄道車両などを軽量化できる金属材料として注目されている。ただ、室温で大きな力を加えると瞬時に壊れるという弱点があった。研究チームは昨年、微量のマンガンを添加することで壊れにくいマグネシウム合金を作成したが、壊れないのは力を加える速度が遅い場合に限られていた。

 今回、研究チームはマンガンの代わりにビスマスを添加、力を加える速度を高速にしても変形するだけで壊れないマグネシウム合金を作ることに成功した。添加したビスマスの量は合金を構成する原子1,000個のうち3個だけという極微量だった。

 作成したマグネシウム合金の強さは、円柱状の試験片に上下方向から一定の速さで力を加えたときに壊れるかどうかで調べた。力を加える速さとしては、一般的に使われる評価速度(毎秒千分の8mm)の100倍の速度(毎秒0.8mm)にした。その結果、試験片は壊れることなく樽状に変形しただけだった。試験速度を変えながら円柱長が60%程度になるまで変形させても、試験片にき裂やひび割れは起きなかった。

 研究チームは、今回の成果について「試験速度に関係なく、変形しやすく破壊に対して優れた吸収エネルギー特性を持つマグネシウム合金は今まで確認されておらず、世界で初めての報告」としている。