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マメ科植物が根粒菌との共生を抑制する物質を発見―窒素栄養に応じてエネルギー消費を抑える仕組みの解明へ:筑波大学ほか

(2018年2月5日発表)

 筑波大学生命環境系と基礎生物学研究所、東京理科大学のグループは25日、マメ科植物が根粒菌との共生を抑える転写因子(NRSYM1)を発見したと発表した。土壌中に窒素が十分にあるときは植物が光合成によるエネルギー消費を抑える働きをする。その分子機構の解明につながる第一歩であり、将来は大豆栽培の効率的な肥料管理などにも役立つとみている。

 マメ科植物は土壌中の根粒菌と共生し、根粒菌から窒素の栄養を受け取っている。植物はその代わりに、根粒菌に光合成で生み出したエネルギーを与えている。

 光合成生産物を消費しすぎると植物自体の成長に影響が出ることから、窒素が土壌中に豊富にある時は根粒菌との共生を抑え、エネルギー消費を節約することが知られていた。

 しかし、植物がどのように土壌中の窒素環境に応じて、根粒菌との共生を制御しているかのメカニズムは分かっていなかった。

 研究グループは、マメ科のモデル植物のミヤコグサから変異体を取りだした。この変異体は高濃度の硝酸(栄養分)を与えても根粒との共生は変わらなかったため、根粒との共生を抑制する因子と分かった。

 変異体には転写因子NRSYM1の情報が組み込まれており、硝酸に応答して根粒菌の感染を根から地上部へ伝えるシグナルの働きも持っていた。

 転写因子NRSYM1は硝酸に応答して遺伝子の発現を直接誘導し、根粒の数を中心的に制御していることが明らかになった。