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風圧の分布を高密度に計測できるセンサーフィルムを開発―自動車や飛行機の低燃費化などに貢献へ:産業技術総合研究所

(2018年2月6日発表)

 (国)産業技術総合研究所は26日、鳥の翼をヒントに、風圧の分布を高密度に計測できるセンサーフィルムを開発したと発表した。自動車や飛行機が受ける風圧を詳細に把握できるため、低燃費ボディの開発などに役立つという。

 開発したセンサーは、樹脂フィルムを切り紙細工のように加工して、小さな羽根状の可動構造を形成し、個々の羽根の動きから風圧の分布を計測するというもの。

 羽根状の可動構造は格子状に並んでおり、フィルムが受ける風圧の分布を個々の可動構造の動きとしてとらえる。樹脂フィルムなので微弱な風のように小さな力に対しても大きなたわみを示す。フィルムの表面には高感度なひずみセンサーを印刷法によって形成した。

 鳥類は翼の羽根一本一本を使って風を面状に受け、風圧の分布や流入角度を捉えて飛行に最適な姿勢を選択している。

 研究グループはこれにヒントを得て、今回、樹脂フィルムの加工性を生かした羽根状の可動構造を形成、印刷法によりフィルムの表面に形成される高感度ひずみセンサーを組み合わせ、鳥の翼の風圧分布検知機能を模したセンサーフィルムを開発した。

 緩やかな曲面を持つ自動車のフロントガラスにこのセンサーフィルムを固定し、時速30kmで走行、フィルムの表面に掛かる風圧の分布計測に成功した。曲面体にかかる風圧の高密度な分布計測は世界で初めてという。

 今後企業連携を広く推進し、センサーの実用化を目指すという。