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次世代不揮発性磁気メモリーの新たな記録技術を開発―高い信頼性と省エネ機能を併せ持つ素子実現へ:産業技術総合研究所

(2018年2月13日発表)

 (国)産業技術総合研究所は213日、次世代不揮発性磁気メモリーの実現が期待される新構造の面内電流型磁気メモリー素子を試作し、新たな記録技術の原理実証に成功したと発表した。高い信頼性と省エネ機能を併せ持つ不揮発性磁気メモリー素子の作製につながる成果という。

 IT機器の超低消費電力化がますます重要となる中で、電源を切っても記録情報が保持される不揮発性と、高速、大容量などの特長を併せ持つ次世代不揮発性磁気メモリーの研究が活発になっている。

 これまでは主に、薄膜状磁石を積み重ねた積層膜面に垂直な方向に電流を流す垂直電流型の不揮発性磁気メモリーが研究されてきたが、通電破壊など解決すべき課題を抱えている。

 そこで、産総研は膜面に平行に電流を流す面内電流型の開発に挑み、異常ホール効果という物理特性を利用した新しい記録技術を考案、今回実際に素子を作製し、原理を実証した。

 作製した新構造素子は、配線材料にコバルト鉄合金の磁石材料、記録層にニッケル鉄合金の磁石材料を用いたもの。実験では、安価でありふれた鉄をベースとした材料の配線でも高い記録効率が得られること、記録書き換えのエラー低減を可能とする高い信頼性が得られること、などが異常ホール効果の利用によって示されたという。

 今後は書き込み動作の実証に向けた磁化反転の検討を進めるとともに、消費電力の低減に向けた素子構造や材料の最適化などに取り組み、次世代不揮発性磁気メモリーの実現に結び付けたいとしている。