1週間前のきつい運動で脳活性化―記憶・認知機能の向上も:筑波大学
(2018年2月13日発表)
筑波大学は2月13日、疲労を感じるほどきつめの運動をすると1週間後に脳のエネルギー源となるグリコーゲン量が増加すると発表した。マラソン選手などが筋肉の持久力を高めるために使っているレース1週間前のトレーニング法が、記憶・認知機能を担う脳でも効果的なことを明らかにした。受験生や社会人の認知パフォーマンス発揮を助ける運動・栄養戦略にも役立つと期待している。
筑波大体育系の松井崇助教、柾矢英昭教授らの研究グループが、ラットを用いた実験で明らかにした。
実験では、ラットに1週間前からカロリー比で70%の高い糖質を含む餌を与え、初日には激しい運動、その後3日間は軽い運動を、最後の3日間は休養させた。その後でラット体内のグリコーゲン量分布を詳しく調べた。
その結果、筋肉だけでなく脳でも生命維持の中枢である視床下部や学習・記憶をつかさどる海馬でグリコーゲン量が増加していた。一方、高い糖質を含む餌を与えなくても、初日に激しい運動さえさせれば、海馬のグリコーゲン量は同じように増加した。そのため研究グループは「筋肉のグリコーゲン量を増加させるには高糖質食が必須だが、海馬のグリコーゲン量の増加には高糖質食ではなく初日に行う激しい運動が必須」とみている。
今後、この成果をもとにすれば、一週間で記憶・認知機能を高める方法が確立できる可能性もあると期待している。