多収で病害虫に強い飼料用米「みなちから」を開発―西日本地域での安定生産に貢献:農業・食品産業技術総合研究機構
(2018年2月15日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構の西日本農業研究センターは2月15日、西日本の温暖地域での栽培に適した、多収量で病害虫害などに強い飼料用の新品種米「みなちから」を育成したと発表した。昨年、品種登録し、九州、瀬戸内海沿岸部で栽培が始まった。水田の有効活用と共に、鶏や牛、豚の肥料米として安定した生産が可能となる。
「みなちから」は、倒伏に強い「関東PL12」と、粗玄米の収量が高い「関東飼226号(モミロマン)」を勾配して育成した。
玄米収量は1a(アール)当たり81.6kg(4年平均)で、「ヒノヒカリ」より42%多く、「ホシアオバ」より9%多収で、「北陸193号」より7%低い。
もみ殻の中での発育期間が比較3種より長く、60日かかる。茎の長さは80cmと短めで丈夫なため倒れにくく、害虫のウンカ類に抵抗力があり、縞葉枯病やいもち病に対しても強いのが特色。ただし除草剤(ベンゾビシクロン)で薬害が生じる恐れがあるので注意が必要となる。
「みなちから」の名称は、生産者をはじめ、これを餌にする鶏、牛、豚など「みんなの力」になることを願って名づけたという。
飼料米は家畜の餌としてはトウモロコシとほぼ同等の栄養価があり、優れたエネルギー供給源になる。トウモロコシ配合肥料の10%程度を置き換えることができるため、海外のトウモロコシ市場に左右されにくいメリットや、国産飼料としての信頼感がある。