暑さや病害虫に強く、多収の水稲新品種「秋はるか」を開発―西日本で低コスト栽培品種として期待:農業・食品産業技術総合研究機構
(2018年2月19日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構の九州沖縄研究センターは2月19日、暑さにも病害虫にも強く、西日本の代表品種「ヒノヒカリ」より多収で、低コスト栽培に適した新品種米「秋はるか」を開発したと発表した。炊飯米の粘りが強くない特徴を生かし、外食や中食向けに流通するとみられる。
早生で、いもち病に強く味の良い「泉2121(西海265号)」と、縞葉枯病とトビイロウンカへの抵抗性をもつ多収の「泉2507」を交配した。
出穂後20日間程度(登熟期間)の平均気温が26℃を超えると、一般的には玄米が白濁し易くなる高温登熟被害が生じるようになる。
「秋はるか」は両親より暑さにやや強い品種となり、いもち病に強く、縞葉枯にも抵抗性を持つことが確かめられた。西日本でたびたび稲の大被害をもたらすトビイロウンカにも抵抗性を持つ。
主に東海以西(高標高地を除く)で栽培されるが、収量は「ヒノヒカリ」より15%多収になる。炊飯米の粘りは「ヒノヒカリ」ほど強くはない。
農薬を減らした低コスト生産に適しており、暑さや病害虫に強いことから安定生産が期待でき、低価格なために外食や中食産業用に需要が期待される。
「秋はるか」は秋に水稲が遥かかなたまで広がる風景を思い浮かべて新品種名としたという。佐賀県、静岡県などで試作されている。