生活習慣病の原因となる小胞体ストレスを緩和―生体防御機構のNrf2システム活性化で:筑波大学
(2018年2月27日発表)
筑波大学は2月27日、生活習慣病の原因と考えられている小胞体ストレスによって生体防御機構のNrf2システムが活性化されることをモデル小動物(ゼブラフィッシュ)を使って実証したと発表した。
Nrf2システムは、細胞にストレスなどが蓄積すると誘導される生体防御機構のこと。このシステムに問題が生じると早老症や、生活習慣病になりやすくなるとされ、Nrf2システムは予防医療の鍵機構と見られるようになってきている。
今回の研究は、糖尿病や神経変性疾患などの生活習慣病の原因になる小胞体ストレスに対するNrf2システムの機能をNrf2活性化剤と小型熱帯魚ゼブラフィッシュを使って調べたもので、Nrf2システムの活性化によってストレスの緩和が図れることが分ったという。医学医療系の小林麻己人講師らの研究グループが実証した。
Nrf2活性化剤には、がん予防効果がある野菜として米国でブームになったこともあるブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)に含まれるスルフォラファンと呼ばれる天然の化合物を用いた。
小胞体は、細胞内に網目状に連なる袋状の小器官で、変性したたんぱく質などがそこに蓄積されると細胞にストレスが生じる。これを小胞体ストレスといい、酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れることで生じる酸化ストレスと並び生活習慣病の原因とされている。
研究グループは、ゼブラフィッシュにブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンを与えてNrf2システムの制御機構を調べた。その過程で外来ストレスがない状況でNrf2システムが自発的に活性化する突然変異ゼブラフィッシュを得ることに成功し、その解析を試みた。
その結果、Nrf2システムの活性化が小胞体ストレスの緩和につながることが分ったという。