マツタケ近縁種の人工栽培に成功―香り、味、形ともにマツタケに似るが、やや小ぶり:奈良県森林技術センター/森林研究・整備機構森林総合研究所
(2018年2月27日発表)
発生したバカマツタケ
(提供:奈良県森林技術センター)
奈良県森林技術センターと(国)森林研究・整備機構森林総合研究所は2月27日、マツタケの近縁種「バカマツタケ」の人工栽培に初めて成功したと発表した。見た目はマツタケよりやや小型で、食味はマツタケとほぼ同じ食用キノコだが、香りはより強い。マツタケの代替品として注目されそう。今年1月に特許を出願しており、奈良県内のキノコ生産者に技術を普及していく。
キノコの菌糸が成長するには通常、糖類などの有機物が必要になる。これまでは糖分の入った培地をしみこませて種菌を作り林地に埋める試みがなされたが、その養分でカビが増えて逆にキノコの菌糸がやられてしまった。
今回は菌糸を細かく砕いたものをまず寒天培地で育て、種菌だけを苗木の根に密着させ、コナラなどの広葉樹林に植える方法をとった。すると11か月後にバカマツタケが発生した。
マツタケはアカマツやハイマツ、ツガなどのマツ科の針葉樹林に発生するが、バカマツタケはミズナラ、コナラ、クヌギ、ウバメガシなどのブナ科の広葉樹林で育つなど、発生環境が大きく異なっている。
バカマツタケは日本(北海道~九州)だけでなく、中国やニューギニアなどにも分布している。
なお、この名称(バカマツタケ)は学名にもなっており、東北地方での呼称がそのまま使われたらしい。本物のマツタケのそっくりさんではあるが、時期的に早く出て、しかもたくさん採れること、さらに松林ではない広葉樹林で採れる“変わりダネ”であることから名付けられたという。