下水道処理場のバイオガス活用のガイドラインを策定―CO2を分離、回収してミドリムシの培養に利用 :国土技術政策総合研究所
(2018年2月28日発表)
国土技術政策総合研究所は2月28日、下水処理場の処理過程で発生するバイオガスから二酸化炭素(CO2)を取り出し、下水汚泥から窒素・リンを抽出して、微細藻類のミドリムシの効率的培養に成功し、バイオガス活用のガイドラインを作成したと発表した。これまでメタンガス回収は出来ていたが、CO2を高濃度で分離、活用するのは初めて。下水道資源の有効活用に広がるものと期待される。
下水の処理過程では、有機質の最終生成物がかたまって固体の汚泥が大量に発生する。これらの多くは焼却して埋め立てられ、一部はセメントや肥料として再利用されてきた。
国総研はCO2分離・回収と微細藻類培養、汚泥可溶化の3つの新しい技術を2015年度から佐賀市で実証実験を進めてきた。
「CO2分離・回収」技術は、バイオガスに加圧と減圧を交互に繰り返すことでメタンガス(濃度90%)とCO2(濃度99%)を効率的に回収できた。
「微細藻類培養」技術は、回収したCO2と下水汚泥から脱水した液体に含まれる窒素とリンを使って、ミドリムシを効率的に培養した。ミドリムシは食材や色素、バイオ燃料などに実用化されている。
「汚泥可溶化」技術は汚泥を微細化してバイオガスの発生量を10%増加させた。
これらを1日5万t(トン)規模の下水処理場に適用すると、880tのCO2を吹き込んでそのうちの130tが有効利用され、年間で75tの微細藻類が生産できると試算された。
新技術のノウハウ蓄積や一般への普及、標準化を進めることによって、国際市場に水ビジネスとして打って出る際の援軍になりそうだ。