乳酸菌K15を摂取すると免疫抗体IgAが増える―ヒト細胞での実験や臨床試験でも確認:キッコ-マン/産業技術総合研究所ほか
(2018年3月15日発表)
キッコ-マン(株)と(国)産業技術総合研究所、千葉大学の研究グループは3月15日、ウイルスや細菌の感染防御に重要な抗体であるIgAの産生を、乳酸菌K15が強く誘導することをヒト細胞で確認したと発表した。乳酸菌K15を3か月ほど摂取すると唾液中のIgA濃度が有意に上昇することも分かったという。
乳酸菌は代謝により糖から乳酸を生成する細菌の総称。腸内に常在しているが、発酵食品などにも含まれ、日常的に摂取している。乳酸菌K15はキッコ-マンがぬか床から分離した菌で、高い免疫活性化能を持ち、免疫系物質であるインターロイキン12(IL12)の高い産生誘導活性を持つことが見出されていた。
K15の応用を探っていた研究グループは今回新たに、K15がIgA産生を強く誘導することをヒト細胞で見出した。IgAは腸管、口腔、鼻腔の粘膜面に分泌される免疫抗体で、ウイルスや細菌が体内に侵入するのを防ぐ役割をする。
7人の被験者の細胞を用い、乳酸菌で刺激した時に産生されるIgAの濃度を測定したところ、K15で刺激した時には他の乳酸菌に比べて強いIgA産生が認められた。
乳酸菌が関与するIgA産生誘導メカニズムについてはこれまでマウスでは報告されていたが、ヒト細胞で認められたのはこれが初めてという。
研究グループは、IgA産生増強効果には、免疫細胞の一種の樹状細胞から産生されるIL-6、IL-10が関与していることや、乳酸菌K15を12週間摂取するとヒトの唾液中の分泌型IgA濃度が有意に上昇することなども見出した。
今後K15の臨床効果をさらに検証するとともに製品化を探るという。