越後平野の地質図を作成―防災・減災の基礎資料として公開:産業技術総合研究所/新潟大学
(2016年7月7日発表)
(国)産業技術総合研究所と新潟大学は7月7日、日本最大の沖積平野である新潟県の越後平野を中心とする詳細な地質図を作成・出版したと発表した。地震に弱い軟弱地盤である沖積層の構成物の種類を大幅に増やして表示、地震や津波、液状化などに対する防災・減災に役立つ地盤情報が一目でわかるようにした。
越後平野では1964年に新潟地震が発生、地震動や液状化によって多くの建造物が倒壊、大規模な精油所火災も発生するなどして大きな被害をこうむった。その後も中越地震(2004年)、中越沖地震(2007年)が起き、繰り返し被害を受けてきた。
このため今回、新潟市域で過去に実施された約7000本のボーリングデータを見直し、地震時の地表の揺れに大きく影響する砂や腐植土など地下の構成物の水平・垂直方向への広がりを5万分の1の地質図として作成した。
新潟市域の表層(深さ5mまで)の構成物の分布を従来の5種類程度から20種類にまで増やして沖積層の分布と特徴を細かく表示、活断層などもわかるようにした。あわせて付属説明書も付けて表層と地下の地質情報のほか資源産業の発達や地質災害の歴史や地質との関係も詳しく解説、新潟市域の地質データベースとして活用できるようにした。
沖積層は約2万年前の最終氷期以降に堆積した地層で、平野部では比較的硬い砂の地盤や柔らかい腐植土の地盤などさまざまな構成物を含んでいる。それらがどのような地層を作っているかで地震時の揺れも大きく異なることが知られている。
産総研は今後、この地質図作成をケーススタディーとして人口が集中する臨海平野部の基礎的な防災資料として地質図の公開を促進していく計画という。