最大の加速器「SuperKEKB」が本格稼働―素粒子物理学の新たな発見と、宇宙誕生の謎に迫る:高エネルギー加速器研究機構
(2018年3月23日発表)
高エネルギー加速器研究機構(KEK)は3月23日、建設中の日本最大の粒子加速器「スーパーKEKB(ケックビー)」が本格稼働したと発表した。今後、生成される500億個のB中間子対を解析して、素粒子物理の「標準理論」を超える新しい物理法則の発見などを目指す。
スーパーKEKBは、前身のKEKBを8年がかりで高度化改造した。一周3kmの円形加速器で、電子と陽電子(プラスの電子)を逆方向からそれぞれ光速で衝突させ、飛散した粒子の軌跡から新物理現象などを探索する。
前身のKEKBは小林誠、益川敏英両博士が予言した理論を2001年に実証し、2008年のノーベル物理学賞受賞に貢献した。
スーパーKEKBは2010年から改造に取りかかり、2018年3月には電子ビーム(集団)をメインリングに投入し、周回を継続させる蓄積に成功している。今後は陽電子ビームをメインリングに入れ、4月以降に行う本格的な衝突実験の調整を進める。
新しい衝突方式として「ナノ・ビーム方式」を採用した。衝突点のビームの大きさを20分の1に絞り、蓄積ビーム電流を2倍にして、KEKBの40倍の衝突性能を目指す。
衝突によってKEKBでは約10億個のB中間子対を生成したが、スーパーKEKBでは約500億個のB中間子対を作る。
今秋から冬にかけて性能を高めた「Bell Ⅱ測定器」を使い、2019年2月から本格的な衝突実験に入る。