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3次元地質地盤図が完成、ウェブ上で公開―千葉県北部地域の地下数10mまでの地質構造が分かる:産業技術総合研究所

(2018年3月29日発表)

 (国)産業技術総合研究所は329日、3次元地質地盤図が完成したと発表した。千葉県北部地域の地下数10mまでの地質構造を立体図で表示したもので、330日から産総研のウェブサイト「都市域の地質地盤図」(https://gbank.gsj.jp/urbangeol/)で公開している。

 誰でも自由に無償で閲覧でき、3次元地質地盤図の公開は国内で初めてという。

 国土がどのような地層や岩石でできているのか、それらがいつ頃できたものなのか、などを地図上に色や記号で表したものを地質図といい、産総研は日本全国の地質図を地域ごとに作って一般に提供している。

 しかし、これまでの地質図は、地表の地質分布は分かるものの、地下がどのような地質構造になっているのかについては表示しておらず、分かりにくかった。特に、都市部など地形が平たんな平野部は理解するのが難しかった。

 東日本大震災の際に千葉県などの一部の沿岸域や河川沿いでは、地盤の液状化が起こって大きな社会問題になった。このため、こうした地域などでは、防災・減災の面からも地下の地質構造についての情報整備が喫緊(きっきん)の課題になっている。

 産総研は、それに応えようと千葉県環境研究センターの協力を得て今回の千葉県北部地域の3次元地質地盤図を作成した。

 千葉県北部地域は、東京都の東に隣接し、北側を利根川、南西側を江戸川が流れる東京湾に面した地域で、河川沿いや東京湾岸域に低地や埋立地が広がり、千葉県はこの地域について約1万地点以上のボーリング調査データを保有している。

 今回はその調査データを活用すると共に、産総研の手で地質構造解析の基準になる地層区分を定めるためのボーリング調査を約20地点で40120mの掘削深度で新たに行い砂層や泥層、砂礫(されき)層などそれぞれの地層の分布状況を調べて地下地質構造の解析を実施し、地下数10mまでの地質構造を立体図や地質断面図にした3次元地質地盤図を作成した。

 産総研は、これに続いて東京都23区の3次元地質地盤図作りを3年後の完成を目指して行うことにしている。