サクラのカミキリ被害に、かんきつ類用の微生物農薬が有効―効果は長期間、防除剤シートは自然分解で作業が簡単:出光興産/森林総合研究所
(2018年4月16日発表)
出光興産と(国)森林総合研究所は、サクラなどを枯死させる害虫クビアカツヤカミキリの被害に対して、微生物農薬の「バイオリサ・カミキリ」が有効であることを確認したと4月16日発表した。これまでかんきつ類などのカミキリ被害対策に使われてきた市販の農薬で、農水省がサクラへの適用拡大を認めた。各地でソメイヨシノなどの立ち枯れ被害が広がっているだけに、効果が期待される。
クビアカツヤカミキリは、中国や韓国などに生息する外来種で体長2〜4cm程度、体全体が光沢のある黒色で胸が赤色をしている。サクラやスモモなどバラ科の樹木を中心に食害し、枯死させることから2018年1月に特定外来生物に指定された。
幼虫が樹木内部に侵入すると2、3年かけて食い荒らし枯死させる。最近は各地でソメイヨシノの被害が目立つようになり、各自治体が注意を呼びかけている。
「バイオリサ・カミキリ」はカミキリムシ類対策として開発されたシート状の微生物防除剤。自然界に生息する昆虫性病原性糸状菌を不織布のシートに付着させ、樹幹や枝に巻きつけておく。カミキリムシが接触すると菌に感染し、駆除できるという新しいタイプの殺虫剤。環境や人畜、有用性植物などには影響を与えない。長期間の効果があり、シートは自然分解する。
これまでかんきつ類などの果樹類のカミキリムシ防除に使われてきたが、新たにサクラやスモモなどの食害対策にも有効なことが確かめられた。