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関節リウマチのバイオマーカーに使える物質見つける―診断だけでなく治療経過を追うことが可能:筑波大学

(2018年4月13日発表)

 筑波大学は413日、関節リウマチのバイオマーカーに使える物質を見つけたと発表した。

 バイオマーカーは、疾患の有無や進行状態を示す指標のこと。

 筑波大が見つけた物質は、関節リウマチになった患者に特異的に出現するたんぱく質で、病状に応じて出現量が変動することから、これをバイオマーカーにすると関節リウマチの診断だけでなく治療経過が追えることをつかんだ。

 関節リウマチは、国内に70万人以上の患者がいるといわれる関節の難病。人間の関節は、厚さが約25µm(マイクロメートル、1µm1,000分の1mm)程度の滑膜(かつまく)という薄い膜で内面が覆われていて、その薄膜から分泌される液体(関節液)の働きで関節はスムーズに動いている。

 関節リウマチは、その滑膜に炎症が生じることによって起きる。何らかの原因で身体の免疫の仕組みが乱れると自分自身の組織を異物とみなして攻撃してしまう異常(自己免疫)が生じ、先ず関節の滑膜に炎症が起き、やがて炎症が関節全体に広がって、治療を施さないと2年位の内に軟骨や骨が壊れるといわれている。

 このため、発症を早く見つけることが重要で、その一つとして血清中の抗シトルリン化蛋白抗体(ACPA)という抗体の有無を検査する診断が行なわれている。

 しかし、ACPAは、関節リウマチの病状の程度(活動性)を知るための指標にはならないほか、チェックで陰性、つまり発症していないという結果が出ても羅患(りかん)している場合がある難点がある。

 こうしたことから、関節リウマチの診断と活動性の両方の判定が行なえるバイオマーカーの探索が求められ、今回それを実現した。

 見つけた物質は、「シトルリン化蛋白」と呼ばれるたんぱく質の一種。

 身体の中には、PAD(ペプチジルアルギニン・デイミナーゼの略称)という酵素があって、この酵素によりアルギニン(アミノ酸)がシトルリン(同)に変換された、たんぱく質の総称をシトルリン化蛋白と呼ぶ。

 研究グループは、そのシトルリン化蛋白が関節リウマチの病状にどのように関与しているかを調べた。その結果、関節リウマチにかかると特異的に出現するシトルリン化蛋白があることを発見、出現量が病状に応じて変わることから診断だけでなく治療経過を追うことのできるバイオマーカーになることをつかんだ。また、質量分析の結果この物質が「ITIH4」というシトルリン化蛋白であることが分った。

 筑波大は、関節リウマチ患者の血清中のITIH4が測定できるキットの開発を始めるとしている。