アモルファス物質の局所構造を高精度に解析―光ディスクの性能向上目指し極微細電子回折を応用:産業技術総合研究所など
(2018年5月17日発表)
(国)産業技術総合研究所と東北大学の共同研究グループは5月17日、アモルファス物質の局所構造を微細な電子線の回折からモデル化する技術を開発したと発表した。光ディスクの記録層に用いられているアモルファス相変化記録材料の理解の進展や性能向上などに役立つという。
光ディスクの性能のさらなる向上を目指し、アモルファス相変化記録材料の高精度な解析が求められている。
ゲルマニウム・アンチモン・テルルから成る相変化記録材料は、結晶とアモルファスで光の反射率が著しく異なることを利用、この相変化で情報を記録・消去している。記録・消去速度を向上させれば大容量データの迅速な記録・消去が可能となるため、そのメカニズムの解明が重要な課題とされ、これまでの研究によって、アモルファスの局所構造の高精度な解析の必要性が浮上していた。
研究グループは今回、リバースモンテカルロ法というアモルファス構造をモデル化する手法を、極微細な電子線の回折を測定するオングストロームビーム電子回折法に適用、これまでに比べて、より直接的に局所構造をモデル化できるようにした。
この手法で相変化記録材料のアモルファス構造の局所構造を解析したところ、結晶の構造に近いが極度にひずんでいることが認められたという。
この手法を用いると、光ディスクの性能向上に役立つだけではなく、今後様々なアモルファス材料の構造・機能解明が進むことが期待できるという。