きわめて簡便な気体分子の質量分析手法を開発―名刺一枚で分子量の決定可能に:物質・材料研究機構
(2016年7月14日発表)
(国)物質・材料研究機構は7月14日、気体の分子量の分析に関して、従来の質量分析法とは全く異なる画期的な手法を開発したと発表した。小型で安価な質量分析装置の開発が期待できるという。
質量分析は物質の分子量を調べる手法で、現在は気体分子を真空中でイオン化し、そこに電場や磁場をかけ、分子量に応じてイオンの飛ぶ方向が変わることを利用して気体分子量を測定している。
研究グループは今回、この分析手法とは全く異なる原理を発見、真空やイオン化を用いることなく、大気中で簡便にリアルタイムで測定できる技術を開発した。
新手法の原理は、紙切れの一端を手で持ち、紙に一定流量の気体を吹き当てた時に生じるたわみ(変形量)が気体の分子量によって変わることを利用したもの。気体分子の重さに応じてたわみ方は異なるので、その変形量から分子量が決定できる。
実験的にも理論的にもこの原理は正しいことが証明され、手に持った名刺でも気体の分子量を決定できることが確かめられたという。
研究グループは今後携帯可能な小型質量分析装置を作製し、広範な分野での急速な活用、普及が進むことを期待している。