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感染症を媒介するマダニの天敵を発見―森のネズミと共生のカニムシがマダニを捕食する:森林総合研究所

(2018年6月5日発表)

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オオヤドリカニムシの成虫(体長5mm程度)
提供: 森林総合研究所

 (国)森林研究・整備機構森林総合研究所は65日、森のネズミと共生する節足動物のオオヤドリカニムシが、感染症を媒介するマダニの天敵であることを見つけたと発表した。最近、野生動物の人里への進出によってマダニによる感染症のウイルスや細菌の媒介が懸念されているだけに、天敵の機能を活用した新たな森林管理のあり方に繋がるものとみられる。

 マダニは哺乳類、鳥類、は虫類の血を吸って生きる寄生生物で、日本では約50種が知られている。主にネズミなどの小型哺乳類に寄生する。

 人の感染症の約75%は野生動物と共通しているといわれ、西日本で患者が確認された重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などのようにマダニなどが媒介するものが見られるようになった。

 その増加の要因には野生動物の分布拡大や気候変動などが複雑に絡んでいるだけに、森林総研では野生動物の適切な管理法として天敵の機能が発揮されるような研究を進めている。

 そうした研究の中で、ネズミに便乗して移動する体長5mmほどのオオヤドリカニムシを採取し調べた。このカニムシはネズミに寄生はするものの危害を加えることはなく、コナダニやマダニを好んで食べた。

 カニムシの口は固形物を噛み砕くよりも体液を吸い取るのに適しており、食べられたマダニは中身が空っぽで半透明状態だった。与えたマダニを8割も好んで食べたことから、オオヤドリカニムシはマダニを捕食する天敵であることが分かった。こうしたことから森のネズミとカニムシは共生関係にあるとみている。

 カニムシはドングリなどの餌が豊富で、ネズミの生息密度が高い森林に多く見られる。

 今後、カニムシがどの程度ネズミの繁殖や生存に役立っているかを定量的に調べ、生物多様性の豊かな森林が野生動物由来の感染症を押さえることにどの程度役立っているかを解明し、適切な森林管理のあり方を探ることにしている。