体内の共生藻の光合成がサンゴの骨格成長を促進―サンゴ礁形成に果たしている共生藻の役割判明:岡山大学/琉球大学/東京大学/産業技術総合研究所
(2018年6月7日発表)
岡山大学と琉球大学、東京大学、産業技術総合研究所などの研究グループは6月7日、サンゴ礁を形成する造礁サンゴは、体内の共生藻の光合成によって骨格成長が促進されていることが明らかになったと発表した。サンゴ礁の形成・成長にはサンゴと共生藻の健全な共生関係が重要なことが示されたとしている。
共生サンゴは非共生サンゴに比べ骨格の成長量が大きいことが分かっている。
研究グループは今回、生まれたての稚サンゴを使って、共生藻を持つサンゴと持たないサンゴを作成し、海水温、塩分、二酸化炭素濃度を変化させて水槽で飼育した。
飼育実験中に、成長したサンゴ骨格の化学分析を行ったところ、骨格成長量の違いがサンゴ体内のpH上昇に起因していることを見出した。
共生サンゴでは、共生藻が光合成をする際にサンゴ体内の二酸化炭素を消費し、サンゴ体内のpHが上昇することで、より石灰化し易い環境になっている、つまり、骨格成長が促進され易くなっていることが判明した。
共生藻の重要性は古くから知られていたが、これまで具体的な役割は分かっていなかった。
今回の成果はこの謎の解明に大きく寄与するもので、サンゴが共生藻のほとんどを失ってしまう「サンゴの白化」がいかにサンゴ礁の成長を阻害するものであるかを示しているとしている。