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AI用いて火山灰粒子の形状判別する方法を開発―専門家の目視に頼らず解析が行なえる:東京工業大学/産業技術総合研究所ほか

(2018年6月25日発表)

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色合いや質感も判断できる火山灰画像。将来はこのような複雑な画像からでも機械学習で火山灰解析ができるようになることを目指す。
(撮影:大槻静香)

 東京工業大学、(国)産業技術総合研究所、情報・システム研究機構統計数理研究所は625日、共同で人工知能(AI)を用いて火山灰の粒子形状を判別する方法を開発したと発表した。

 火山灰は、主にマグマが発泡してできる細かい破片のこと。大気中を舞って火山から遠く離れた地域にまで広がるため、気象庁は火山灰が降る地域の予報(降灰予報:こうはいよほう)を出しているほど。

 しかし、火山がどのように噴火したかを明らかにするのに重要な手がかりとなる火山灰粒子の形状判別は、目視に頼っているのが現状で、それには高度な知識と経験がいり、限られた専門家しか対応できない状況にある。そのため、人里離れた遠隔の火山で噴火が発生した場合などは火山灰を採取してもそれを速やかに解析するのがなかなか難しい。

 研究グループは、画像認識の分野でAIが顔の認識などに使われているのに着目、その技術を応用して火山灰の画像から粒子形状の判別情報が即座に抽出できる方法を開発した。

 具体的には、人間の脳の神経回路網をモデルにしたニューラルネットワークと呼ばれるAIに火山灰粒子の画像パターンを学習させ、粒子形状の判別を行なうというもの。粒子の画像は、ガラス板上に散布した火山灰に下からライトを当てて撮影し、一粒子ずつの画像を切り取って解析する。

 研究グループは、伊豆半島、三宅島、アイスランドで集めた火山灰について、それらの粒子画像から特徴的な形状を持つ粒子を選びニューラルネットワークに学習させたところ約92%の精度で形状の判別ができたといっている。

 実用化については「シンプルな画像とニューラルネットワークを用いているためさらに改良が必要」としているが、精度の高いニューラルネットワークを使用できるようにすれば専門家がいなくても火山灰の形状判別を迅速に行なえるようにすることができると研究者グループは見ている。

 この研究成果は、英国の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に525日オンライン掲載された。