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点を取るならディフェンダーとミッドフィルダー間を狙え―Jリーグと独ブンデスリーガのサッカー試合を比較、分析で実証:筑波大学

(2018年6月25日発表)

 筑波大学体育系の中山雅雄准教授、同大学院人間総合科学研究科の浅井武教授らのグループは625日、日本とドイツのサッカー・トップリーグの年間試合を記述的に分析した結果、ディフェンダー(DF)とミッドフィルダー(MF)間のスペースを利用した攻撃が、サイド攻撃などと比べて得点や得点機会に繋がり易いことを実証したと発表した。日本はDF-MF間を利用した攻撃が少なく、プレー成功率も低いことが明らかになった。今後の指導にどのように生かしていくかが課題となる。

 MFはサッカーコートの中間にあって攻撃、守備ともに戦術の要となりゲームを左右するポジション。DFは、ゴールキーパーの手前で守備的な位置にあり、バックスとも呼ばれる。

 最近のサッカーの守備戦術は、選手間の距離を縮めるコンパクト形が主流になっている。このためDFMFとの間のスペースは非常に狭くなり、厳しいプレッシャーがかけられているという。

 これまでのサッカー指導書などでも、「DF-MF間を利用することは得点や得点機会に繋がり易い」と明確に書かれており、重要なことは知識としては知られていた。

 しかし日本のサッカーは、相手陣内での攻撃プレーに課題があり、DF-MF間を利用した攻撃が効果的にできていないとみられていた。そこで世界トップリーグの攻撃と比較することで、Jリーグの問題点を実証的に抽出することにした。こうした学術的研究はこれまでなかった。

 研究はJリーグの10試合(2015年)とドイツのトップリーグであるブンデスリーガ(Bリーガ)の20試合(2015年、2016年の2年間)を、記述的ゲームパフォーマンス分析と呼ばれる手法で分析した。

 各リーグの攻撃を「DF-MF間の攻撃」「サイド攻撃」「その他の攻撃」と、「得点」「得点機会」(シュート、ペナルティーエリア内侵入)に分けてクロス集計し、他の攻撃に比べてDF-MF間の攻撃が得点や得点機会に繋がっているかなどを調べた。

 シュートでは「DF-MF間攻撃」がJリーグ285回で、Bリーガ327回より少なかった。「サイド攻撃」(Jリーグ633回、Bリーガ562回)と「その他」(Jリーグに151回、Bリーガ112回)はJリーグが多かった。同様に「得点」と「ペナルティーエリア侵入」でも同じような結果が得られた。

 つまりDF-MF間の攻撃は、サイド攻撃やその他の攻撃よりもシュートと得点、ペナルティーエリア内侵入の割合が高く、得点や得点機会に繋がる有効な攻撃であることが明確になった。

 Jリーグは、BF-MF間を利用した攻撃の割合がBリーガよりも低く、この区間でボールを受けた選手が攻撃方向へボールを運ぶ割合やこの区間でのプレー成功率が、Bリーガより低いことも確認された。

 これらのことからJリーグはBリーガに比べて、DF-MF間でボールを攻撃方向へ運ばないために、相手に奪われることが多いという。従来のサッカー指導書などで指摘されていた有効性が実証されたことから、今後のトレーニングやコーチングで、DF-MF間での攻撃を広めていくための根拠となる。