多収で味が良い水稲の新品種を開発―新潟県で種子生産目的の栽培がスタート:農業・食品産業技術総合研究機構
(2018年6月26日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は6月26日、多収で味が非常に良い水稲の新品種「あきあかね」を開発したと発表した。
稲は、収穫時期の早い方から早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)と呼んでいる。新品種は、その内の晩生に入り、収量の多い「収7388」種と味の良い「中部109号」種とを交配して作った。
日本の稲作経営は、近年大規模化が進んでおり、植え付けの時期や収穫の時期を分散できる品種の開発が求められている。
新品種「あきあかね」は、中生の人気品種「コシヒカリ」より収穫時期が2週間程度遅く、十分にその作期分散が行なえる。味の総合評価は、「コシヒカリ」を上回るほどで、極良食味と同機構はいっている。
玄米収量も多く、上越市(新潟県)の農研機構中央農研北陸研究拠点で行なった栽培では、標肥栽培(標準施肥での栽培)の場合で10a当たり735㎏の玄米を収穫、ほかの圃場で得た「コシヒカリ」の収穫量628kgを100kg強上回った。
この、玄米収量は、農研機構がこれまでに開発した晩生品種「あきだわら」(現在普及が進んでいる)の同747kgに近い。
弱点は、ウイルスによる縞葉枯病(しまはがれびょう)と、植物病原性細菌で起きる白葉枯病(しらはがれびょう)に弱いこと。共に稲が枯れる病気で、それが常発している地域で栽培する場合には徹底した防除を行なう必要があるという。
栽培適地は、北陸や関東以西の地域。既に平成30年度から新潟県で業務用米向けの種子の生産を目的とした栽培がスタートしている。初年度の栽培面積は、約70haだが「数年後には更なる普及が見込まれている」と農研機構は期待をかけている。