三日坊主で終わらせない―運動促す物質 ビタミンB1から:筑波大学
(2018年7月13日発表)
筑波大学は7月13日、ビタミンB1とニンニクに含まれるアリシンなどから作られる化合物「フルスルチアミン」が動物に自発的に身体活動を高めさせる効果があると発表した。ラットを用いた実験で突き止めた。三日坊主になりがちな健康維持のための運動に積極的に取り組ませる効果も期待できる。今後は作用メカニズムの解明と長期投与した場合の効果などについて検証する。
筑波大ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センターの征矢英昭センター長・教授らが武田コンシューマーヘルスケア(株)との共同研究で明らかにした。
ビタミンB1は米ぬかから発見されたビタミンの一つで、チアミンという有機化合物がその本体。この物質にアリシンを化学反応させた後、コーヒーの芳香成分を結合させてニンニク臭を改善した化合物を作った。研究チームは、この化合物「フルスルチアミン」がビタミンB1より体内に吸収され易く、脳内で意欲をつかさどるドーパミンの分泌を 高めることなどに注目。ラットに投与したときに、自発的な運動が促されるかどうかを調べた。
実験では、ラットの腹腔内にフルスルチアミンを単回投与し、その後の120分間の自発的な行動量を輪回しケージで調べた。その結果、ラットが自発的に走行する距離は濃度の高いフルスルチアミンを投与したときほど延びた。また運動機能や感情などに関わる神経伝達物質「ドーパミン」の放出量が、脳の前頭前皮質内で増加していた。ドーパミンが脳内で働くために必要な受容体は5種類あるが、このうちD1と呼ばれる受容体が働いていることも分かった。
研究チームは「フルスルチアミンが前頭前皮質のドーパミン放出量を高め、ドーパミンD1を介して自発行動を高めている」とみている。今後は長期投与の効果などを検討、三日坊主に終わらない運動継続に役立たせる可能性を探る。