「平成30年7月豪雨」の特徴や要因―3つの気象要因が記録的な大雨もたらす:気象庁
(2018年7月13日発表)
気象庁は7月13日、西日本から東海地方の多くの観測点で観測史上最大の雨量を記録した「平成30年7月豪雨」の特徴や要因をまとめ発表した。速報的な解析によると、3つの要因によって記録的な大雨が生じたという。
「平成30年7月豪雨」では、多くのアメダス観測点で48時間や72時間雨量が観測史上1位の記録を更新した。また、7月上旬の1日~10日にかけての降水量は、比較可能な1982年以降の旬ごとの降水量の中で、最も大きな値であった。
気象庁は今回、西日本から東海地方を中心とした広範な地域に甚大な被害をもたらしたこの豪雨について、その特徴を分析するとともに、梅雨前線が停滞して大雨特別警報の発表に至った7月5日から8日の大雨の気象要因を速報的に解析した。
その結果、2日間(48時間)から3日間(72時間)の降水量が記録的に多い地域が広範囲に広がっていたのが今回の豪雨の大きな特徴で、気象要因としては3つ考えられるとした。
一つは、多量の水蒸気の2つの流れこみが西日本付近で合流し、持続したことである。東シナ海付近では水蒸気を多く含む空気が中層・下層におよび、その空気が西日本へ流れ込んだ。日本の南東側では太平洋高気圧の勢力が強まり、水蒸気を多く含む下層の空気が太平洋高気圧のふちに沿って西日本へ大量に流れ込んだ。
これらの合流により、西日本付近に極めて多量の水蒸気が集中した。
二つ目は、梅雨前線の停滞・強化などによる持続的な上昇流の形成である。この上昇流は例年に比べ強く、かつ長時間持続した。
もう一つは、雨雲が列をなして発生・発達する線状降水帯が局地的に形成されたことで、一部で激しい雨が数時間降り続いた。
気象庁では引き続き詳細な解析を進めるとしている。