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耕作放棄地には湿性・草地性鳥類が多く生息―鳥類保全に耕作放棄地の評価が重要に:北海道大学/森林総合研究所

(2018年7月26日発表)

 北海道大学と(国)森林研究・整備機構森林総合研究所の共同研究グループは726日、耕作放棄地には湿地・草地性の鳥類が多く生息していることが明らかになったと発表した。世界的に湿地や草地が減り、湿地・草地性鳥類が減少しているが、耕作放棄地を評価することによりこれら鳥類の保全につながることが期待されるという。

 人間活動の増大により18世紀以降、地球上の湿地の約80%、草地の約40%、森林の約20%が失われ、国内でもこの100年間に湿地約60%、草地約90%が失われたとされる。これに伴い、それぞれの生態系に生息する生物も減少してきた。一方で近年、耕作が行われなくなった耕作放棄地が増加しており、耕作放棄地における生物の生息が関心を集めている。

 研究グループは今回、北海道中央部で、6種類の土地利用タイプにおける鳥類の生息状況を調査した。土地のタイプは耕作放棄地、湿地、草地、農地、森林で、耕作放棄地は湿性と乾性に分けた。鳥類は湿地性、草地性、農地性、森林性の4種類に分類して個体数を調べた。

 調査の結果、耕作放棄地に生息する湿地・草地性鳥類の個体数は、本来の生息地における個体数より少ないものの、農地や森林より多かった。特にコヨシキリ、オオジュリンなどの湿地性種4種については、農地よりも湿性耕作放棄地の個体数が顕著に多く、農地が放棄されることにより個体数が増加すると予想された。

 周辺の開けている土地が生息数に及ぼす影響も調べたところ、周囲の開放地の面積割合が高いほど湿地、草地、農地性鳥類の個体数が増加する傾向が見られた。

 農地の耕作放棄は生物の個体数を減少させるという報告もあることから、今後耕作放棄の影響の地域差や時間的推移を詳しく調べる必要があるとしている。