自動運転バスの路上走行試験実施へ―日立市のバス路線を利用して10月に行う:産業技術総合研究所
(2018年8月27日発表)
(国)産業技術総合研究所は8月27日、次世代の交通システムを目指し研究を行なっている自動運転バスの路上走行試験を10月19日から行なうと発表した。日立市(茨城県)の協力を得て同市にある鉄道の廃止線を利用した「ひたちBRT」と呼ばれるバス路線と一般道の計3.2kmを使って実施するもので、実施期間は10月28日まで。関係者のほか周辺の一般の人にも試乗してもらう予定という。
過疎化などによって鉄道やバスの廃線や縮小が進んでいる。そうした状況への対応策の一つとして期待されているのが「ラストマイルモビリティー」と呼ばれる限られた地域内を自動運転で走行するバスなどの新しい端末交通システム。
今回の路上走行試験は、経済産業省、国土交通省が推進する「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業」の一環として産総研に委託して実施するもので、日立市は「ラストマイル自動走行の実証評価」と位置付けており、10社近い企業の協力を得て改造を行った市販の小型バスの自動運転走行を「ひたちBRT」で行う。
BRTとは、Bus Rapid Transitの略。バス高速輸送システムと訳され、「ひたちBRT」は廃線になった日立電鉄の線路跡地を利用した延長3.2kmのバス路線で2013年から運用されている。
自動運転には、自動の程度に応じ「レベル1」から「同4」までの4つのカテゴリーがある。今回の「ひたちBRT」での走行試験に使う自動運転バスは、カメラ、レーダー、センサーといった“目”や“耳”などを備え、最高度の自動運転レベルであるレベル4相当の機能を持つという。
ただ、現在の日本では、ドライバーが乗らないレベル4での自動運転実験を公道で行うことは認められていないため、今回の走行試験はドライバーが添乗し自動運転システムが運転主体となった自動走行の実証を行なうことにしている。
ドライバーのいない将来の自動運転バスの開発では、乗客からの運賃の受け取りをどのように行うかも課題となるが、新たな決済システムの試行も予定している。
自動運転の走行試験は、「ひたちBRT」の運用の合間に実運用に近い形で実施してバスの利用者や周辺の受け止め方と共に、「事業性も検証していく」と産総研はいっている。