加工・業務用ホウレンソウの機械収穫システムを開発― 作業時間5分の1から10分の1に、生産コストも大幅ダウン:農業・食品産業技術総合研究機構
(2018年9月6日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は9月6日、加工・業務用ホウレンソウの収穫を機械で行う機械収穫体系を開発したと発表した。中小の生産者が使える収穫システムで、作業時間を手で刈り取る収穫の5分の1から10分の1に大幅短縮できるという。
冷凍加工品の製造や外食・中食(なかしょく)などで加熱調理用として利用されているホウレンソウのことを加工・業務用ホウレンソウといい、一般の青果用ホウレンソウが草丈25cm程度なのに対し40cm以上に生育させて収穫する。大きく育てると葉が肉厚となって食感が増すことから需要が大きく伸びており、大規模生産農家では大型の乗用式収穫機機械を使っての生産が進んでいる。
しかし、中小の生産農家においては対応する効率的な収穫機が無いことから機械化体系の構築が遅れている。
今回農研機構は、加工・業務用ホウレンソウを連続収穫するためのアタッチメントを(株)ニシザワと共同で開発すると共に、加工・業務用ホウレンソウの2大生産県の宮崎県、熊本県、(株)クマレイと共同でそのアタッチメントを利用した「小型コンテナ横流れ方式」と「メッシュコンテナ・ベルトコンベア方式」と呼ぶ2つの方式の中小生産者が使える機械式収穫システムを開発した。
実証試験では、収穫作業時間が従来の手穫り収穫の5分の1から10分の1程度になり、生産コストが20%下がる好結果を得ている。
ホウレンソウは、機械で収穫すると成長点が残って切り株から再び芽が出る性質がある。今回の収穫システムは、刈り株の損傷が少なく一度収穫した刈り株からホウレンソウを再収穫する「刈り取り再生栽培」を行なうことも可能という。
農研機構は、この成果をまとめた「加工・業務用ホウレンソウ機械収穫体系マニュアル」を作ってウェブページで公開している。