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マテリアルズ・インフォマティクスによる新超伝導物質の発見―超伝導の新物質の発見にデータサイエンスが大活躍:物質・材料研究機構

(2018年8月28日発表)

 (国)物質・材料研究機構と愛媛大学のチームは828日、マテリアルズ・インフォマティクスの手法を用いて、高圧力のもとで超伝導現象が起こる新しい超伝導物質を発見した、と発表した。

 これまで物質の材料の研究は、研究者の経験や直感によって行われる面が濃厚であったため、失敗の連続の先にいくつかの成功に出会うというような事が多かった。これでは多大な時間とコストがかかってしまう。この問題の改善策として材料のデータベースを活用し、さらにコンピューターを駆使して実験結果のシミュレーションなどを通し予測する事で時間とコストの大幅な削減が期待されている。

 特に超伝導物質は電気抵抗が完全に0になることにより電気エネルギーをロスすることなく使うことが可能となるため、環境にとって良いものとなると期待できる。しかし超伝導状態を実現するためには非常に低温の状態に冷やし続ける膨大なエネルギーが必要となる。

 そこで少しでも温度が高い状態で超伝導を実現できる物質の探索が行われてきた。

 研究では10万個以上の無機物質の結晶構造データが蓄積されているAtom Workをベースに、超伝導が実現できる可能性がある物質を27個選び出し、さらにそこから実際に合成のし易いSnBi2Se4PbBi2Te42つの物質に絞り込み、実際にこれらの物質を合成した。これらの物質は高圧力のもとで電気抵抗を測定できる装置を用いて超伝導が起こることが確認でき、データサイエンスを活用した成功事例となった。

 今後このようなデータ科学の手法であるマテリアルズ・インフォマティクスという方法を用い、さらに熱電物質(本来なら捨てられてしまうだけの熱を利用して電気エネルギーに変換することができる物質)を探しあてる事や、地球環境問題解決のカギとなる新物質の開発研究が進む事が期待される。