収穫後の貯蔵性が良いかぼちゃの新品種を開発―課題の端境期に出荷でき、甘くて食感が良く高収量:農業・食品産業技術総合研究機構ほか
(2018年10月23日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構と(株)渡辺採種場は10月23日、共同で収穫した後冬から春にかけ長期間貯蔵でき、甘くホクホクした食感を持つ味の良いかぼちゃの新品種を開発したと発表した。国内産かぼちゃの出荷は、主に夏から晩秋にかけて行われるため、端境期(はざかいき)の冬から春には不足し輸入かぼちゃに頼っているだけに普及が期待される。
端境期とは、作物が市場に出回らなくなる時期のこと。かぼちゃは、12月から翌年の5月までが端境期。この時期店先は、ニュージーランドなどからのかぼちゃで占められ、2016年には1年間に世界各国から約11万6,000tが輸入された。
今回の新品種は、その端境期に出荷できるようにすることを目指して開発した「F1品種」。名称は、「おいとけ栗たん」。置いておける貯蔵向きの栗かぼちゃという特徴を採って名付けた。
F1品種は、異なる系統や品種間の交配によって得られた品種。異なる形質(性質や特徴)を持つ親をかけ合わせるとその第一代目の子(F1:雑種第一代)には両親の優性遺伝子だけが現れる。F1品種は、このメンデルの法則(優劣の法則)を利用して作られた品種で、現在日本で市販されている野菜の多くがF1品種になっているといわれている。
新品種は、農研機構が開発したかぼちゃ「北海6号」と渡辺採種場が開発した「NH」という品種とを交配することによって得た。収穫後3ヶ月間貯蔵しても高い糖度とホクホクとした食感を維持できる。
また、株と株の間を狭くする密植栽培ができるのも特徴で、4年間行った試験栽培では10a(アール、1aは100㎡)当たり平均2,663kgという高収量を記録している。この収量は、日本各地の畑で広く栽培されているかぼちゃの品種「えびす」より800kg近く多い。
農研機構は、この新品種の栽培によって「年間を通しての国産かぼちゃの供給が可能となる」と普及に期待をかけている。