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牛の発酵飼料用イネ新品種を開発―従来品種より2~3割収量増も:農業・食品産業技術総合研究機構

(2018年11月1日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は111日、牛の発酵飼料に用いるイネの新品種「つきことか」を育成したと発表した。従来品種より収量が23割高く乳酸発酵に適した糖の含有率も多いなど、飼料用として優れた性質を持つ。作付け時期を従来品種より遅くできるため、収穫作業などの時期を分散でき、増産が期待できるという。

 新品種は、関東以西で牛の発酵飼料用品種として広く普及している「たちすずか」に比べ、飼料に適した茎や葉の収量は23割高いという。その一方で牛が消化しにくい籾の割合はたちすずかが7.9%だったのに対し1.6%と少ないのが特長だ。また、茎や葉に含まれる糖の含有率はたちすずかが17%なのに対し、それと同程度の15.6%で良好な発酵が期待できるという。

 新品種は従来品種より遅い時季に栽培する晩植栽培をしても、発酵飼料にとって不都合な籾の割合が増えずに済むのも特長。穂を出す時季はたちすずかより3週間ほど遅い9月下旬から10月にかけてで、農家にとっては作業の負担が集中する収穫時期を分散できるため増産にも貢献すると期待している。

 発酵飼料用のイネ品種としては、農研機構が2010年にたちすずかを、2016年にはそれに縞葉枯病抵抗性を持たせた「つきすずか」を育成、関東以西の広い地域で普及を進めてきた。ただ、生産現場からは「牛にとって消化の良い、茎や葉の収量をより多くしたい」「晩植栽培でも籾の割合が増えない品種を」という要望が出ていたため、新たな品種の育成を進めていた。