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温暖化に伴う気候関連災害の人・社会への影響を調査―気候関連災害の同時発生と複合的な影響明らかに:芝浦工業大学/国立環境研究所ほか

(2018年11月16日発表)

 芝浦工業大学と(国)国立環境研究所は1116日、世界各国の大学や政府系機関などの研究者らと共同で、地球温暖化に伴う気候関連災害が人や社会にもたらす影響を調査した結果を発表した。気候関連災害は温暖化で強度が増すだけではなく、複数の災害が同時に生じることによって多くの人々に影響を与えることが明らかになったとしている。

 調査ではまず、過去数十年に観測された気候関連災害による影響を、主要な科学論文をもとにまとめた。

 気候関連災害としては、気温上昇、熱波、降水変化、洪水、水不足、干ばつ、火災、海面上昇、暴風雨、自然土地被覆、海洋化学変化の11災害を選定。人間システムについては健康、食料、水、経済、インフラ、安全保障を主要6分野とし、これら6分野の構成要素を計89項目に分類、それぞれの要素について、いくつの気候関連災害による影響が観測されたかをグラフ表示した。

 例えば、健康の分野の要素である疾病の場合、11の気候関連災害のうち、10災害の影響が認められたとしている。水の分野の要素である供給については9災害の影響があったとしている。

 次に、最新の地球温暖化影響予測(CMIP5)をもとに累積的な気候関連災害を評価した。地球温暖化が進んだ場合、2100年までには、各気候関連災害が増加するため、複数の災害が同時に発生するケースが増加することが示されたという。

 同時に発生する気候関連災害に影響される人の数は、最も温暖化の進行が少ない低排出シナリオにおいても十分多く、特に熱帯の地域で多い。温暖化の進行がより高い場合はさらに増加するとしている。

 気候関連災害の同時発生とその複合的な影響を整理、評価した研究はこれが初めてで、温室効果ガス排出削減目標や適切な対応策の策定には、今回の調査研究で明らかになった複合災害の影響は無視できないと指摘している。