AIを使うとポリマー設計の試行回数が40分の1に減少―高分子材料の開発期間の短縮に貢献:昭和電工/産業技術総合研究所ほか
(2018年11月27日発表)
昭和電工(株)と(国)産業技術総合研究所、先端素材高速開発技術研究組合は11月27日、要求特性を満たすポリマーの設計に人工知能(AI)を利用したところ、設計試行回数を約40分の1に減らすことができたと発表した。AIを利用することにより先端高分子材料などの開発期間を大幅に短縮することが期待できるという。
研究グループはポリマー設計におけるAI技術の有用性を明らかにするため、今回、ポリマーの構造データ417種の中から最もガラス転移点が高いポリマーをAIで探索することを試みた。
AIにはあらかじめ無作為に抽出した10件のデータを学習させた。その際、モノマーの構造を表す手法であるECFPという方法を応用して、ポリマーの構造的特徴を数値化し、それを学習データに用いた。また、予測値だけでなく、推定される誤差も考慮して次の候補を選出できるベイズ最適化という方法を用い、予測・検証を繰り返すようにした。
実験では所望のポリマーを発見するまでの試行回数を調べた。その結果、平均4.6回という極めて少ない試行で最もガラス転移点が高いポリマーを発見できた。この値は、無作為にポリマーを選出した場合と比べて約40分の1と非常に少ない値であり、AIによるポリマー設計の有用性を裏付ける結果と考えられるとしている。