ミノムシの糸が自然界で最高の強度と発見― 電子、自動車部品への応用、革新的バイオ素材開発に期待:興和株式会社/農業・食品産業技術総合研究機構
(2018年12月5日発表)
医薬品メーカーの興和(株)(名古屋市)と(国)農業・食品産業技術総合研究機構は12月5日、ミノムシが出す糸の有用性を発見し、製品化への開発に成功したと発表した。これまで自然界で最強といわれていたクモの糸をしのぐ強度があることを発見し、今後はより強い繊維強化プラスチック(FRP)や、革新的バイオ素材、自動車部品、電子部品などへの幅広い応用、展開を見込んでいる。
ミノムシはカイコやクモと同じようにたんぱく質でできたシルク繊維を吐き出す。カイコは長い糸を出すものの1回限りだった。これに対してミノムシはエサを与えれば何回でも採取でき、今回は数百mの長い糸の採取に成功した。人工繁殖法や大量飼育法も確立したという。
クモ(オニグモ)の糸の強さはこれまで自然界で最強であるとされてきた。ところがミノムシは、クモの糸の約2倍の強さを持っていることを発見した。糸の物性は、変形のしにくさを示す弾性率、引っ張りに耐える破断強度、強靭さなど全ての面でクモを上回っていた。熱に対しても300℃以上に耐える高い安定性を示した。
自動車やボートなどに使われている繊維強化プラスチック(FRP)にミノムシの糸を組み込んだところ、これまでのFRPの数倍の強度が得られた。
ミノムシの糸の軽くて強い性質を生かすことで、自動車や飛行機の部品、電子部品、再生医療素材などへの活用も可能とみている。興和では、革新的バイオ素材として脱石油社会に貢献したいとしている。