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窒素循環のホットスポット発見―気候変動への影響解明に貢献も:国立極地研究所/農業・食品産業技術総合研究機構

(2018年12月6日発表)

 国立極地研究所と(国)農業・食品産業技術総合研究機構は126日、北極圏のノルウェー領スバールバル諸島に温暖化の進行によって強力な温室効果ガス「一酸化二窒素(N2O)」を放出する可能性がある窒素循環のホットスポットを見つけたと発表した。北極圏ツンドラ地域の生態系における炭素・窒素循環の実態と、その気候変動への影響を理解するための重要な発見になるという。

 スバールバル諸島は北極海に浮かぶ群島で、その一つであるスピッツベルゲン島の町ニーオルスン近郊にある崖下の急斜面で発見した。崖には海鳥が巣をつくっており、その排泄物など窒素を含む有機物が蓄積しやすくなっている。

 研究グループがこの崖下の急斜面2カ所の土壌を採取して調べたところ、窒素化合物を分解して窒素分子にまで分解する「脱窒能」が高い微生物を多数含んでおり、10℃という低温環境下でもその分解力は極めて高かった。さらに、この土壌を現地の最高気温より高い20℃にまで上昇させると、その分解力は1.62.3倍にまで急速に増加。斜面に蓄積された窒素化合物の分解が温暖化によって加速する可能性があることも分かった。

 現地調査では、2カ所の急斜面のうち1カ所でN2Oが著しく放出されているのを確認した。土壌中でのN2O生成量が消費量を大きく上回っているためで、この場所が窒素循環に関わるさまざまなプロセスの盛んなホットスポットであると判断した。

 研究グループは「高緯度北極におけるツンドラ生態系の炭素・窒素循環とその気候変動への応答を理解するうえで重要な知見になる」と話している。