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近未来気候でも豪雨はより強くなり連続無降水日は増加―多数回の高解像度温暖化シミュレーション実験で明らかに:海洋研究開発機構/気象研究所ほか

(2019年1月9日発表)

 (国)海洋研究開発機構と気象庁気象研究所、北海道大学の研究グループは1月9日、近未来気候でも豪雨はより強くなり、連続無降水日も増加する可能性があることが高解像度温暖化シミュレーション実験の結果から明らかになったと発表した。得られた近未来気候予測データベースは国や地方自治体における気候変動適応計画の検討・策定への活用が期待されるとしている。

 温暖化の進行とともに、降水量が増加し、降水現象がより極端になることが報告されている。しかし、数十年に1回の割合でしか起こらないような低頻度の極端な気象現象が将来どの程度変化するのか、特に近い将来の変化については既存の気候シミュレーションデータベースで信頼性の高い推定を行うのは難しかった。

 研究グループは今回、海洋研究開発機構のスーパーコンピュータ「地球シミュレーター」を用い、世界の平均気温が2℃上昇した気候状態を対象に、高解像度モデルによる多数のアンサンブルシミュレーションを実行、その出力を解析した。

 アンサンブルシミュレーションは、計算条件をわずかに変えながらシミュレーションを繰り返し行うもので、「数十年間に一度の大雨」といった統計量の評価の信頼度を高められるのが特徴。水平格子間隔を60kmから20kmに細分化した高解像度モデルでシミュレーションした。

 その結果、「パリ協定」に準拠した国際的な温暖化緩和・抑制に向けた取り組みが機能したとしても、近未来気候において極端な降水の強度、いわゆる年最大日降水量は増大する可能性が高いこと、また、連続して降水がない期間、つまり連続無降水日数も増大することが分かった。

 今回の繰り返し実験結果から得られた近未来気候予測データベースは、降雨のみならず様々な極端現象の将来変化の評価や適応策の検討のために役立つという。